Written by Yuhei Yano
今回の注目ベンチャーの紹介はPrinceton NuEnergy(PNE)です。
PNEはリチウムイオン電池(LiB)正極材のリサイクル事業を行っています
EV化が進む中、主用部材であるLiBの低コスト化・低環境負荷が求められており、それらを解決するひとつの手段としてリサイクル技術の革新に注目が集まっています。
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は凸版印刷内のみです※
Princeton NuEnergy(PNE)
https://pnecycle.com/
サービス/プロダクト概要
・特徴/提供価値
- 使用済みLiBから分離したカソード(正極)電極をプラズマ処理プロセスにより直接カソード電極にリサイクル(ダイレクトリサイクル) が可能になる技術
- 対して従来のリサイクルプロセスは、リチウムやニッケルなどの原材料に戻したあと、改めてカソードを製造しているが、同社技術は”修復”に近い
->プロセス処理回数を大幅に削減可能な技術 - 直接リサイクルプロセスにより、従来の高熱や硫酸等の劇薬を使う従来のリサイクルプロセス(乾式精錬/湿式精錬)に比べてコストと環境負荷の低減が可能
->環境面ではCO2排出量を68%減、水使用量を69%減、エネルギー使用量を73%減できる - 同社のコアテクノロジーは(1)前処理、(2)プラズマ処理による表面修復、にある
- (1)は、化学組成が同じ部材を分離した上で、何らかの処理を行い(調査中)、電池部材から正極材のみを単離する技術と推測される
- (2)は、低温真空プラズマ処理と考えられ、プラズマ中で発生した酸素ラジカルが、基板表面の有機汚染物の炭素原子と反応して、CO2の形態で除去されることで、表面を洗浄し、希少金属のみ(が付いた正極材)を抽出する技術と推測される
ビジネスモデル
- Recycling-as-a-Service(RaaS): 電気自動車会社、電池会社からLi電池リサイクルを受託
- Manufacturing: 使用済み電池を回収。電極材料にリサイクルして回収した会社以外の顧客にも供給
市場動向
- 電気自動車の拡大が進む中で主要部材となるLiBの低コスト化および低環境負荷が求められる
- 再生可能エネルギー発電と電気自動車を促進するための政策レベルのイニシアティブを受けエネルギー貯蔵セクターは拡大
- LiBの構成部材の内、正極材の材料費が総コストの51%を占める。低コストのリサイクル技術を持つ本企業は注目に値する
顧客・競合・パートナー
- 顧客:台湾大手ODMや米国大手家電メーカーとのリサイクル工場建設(技術ライセンス)を計画
- 競合:
・湿式精錬(一部ダイレクトリサイクルとのハイブリッド):Redwood Materials(アメリカ)、Li-Cycle(カナダ)、AscendElements(アメリカ)、OnTo Technology(アメリカ)
・ダイレクトリサイクル:住友化学(日本)
・湿式精錬のプレイヤーは既に大手自動車会社と米国でLiBリサイクル工場建設を発表するなど、技術が実用段階に入っている。一方、ダイクレトリサイクルはラボ検証が終わり、これから量産展開に入る段階
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