Written by Ryo Takei
今回の注目ベンチャーの紹介はVycarbです。
Vycarbは、独自のソフトウェアとハードウェアを統合し、測定可能な二酸化炭素除去および水中貯留を可能にするシステムを開発しています。
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※
Vycarb
https://www.vy-carb.com/
サービス/プロダクト概要
- アルカリ溶解反応を利用して水中の二酸化炭素(CO2)を炭酸水素イオン(HCO3-)または炭酸イオン(CO32-)へ変換し、その量をリアルタイムで定量可能なモジュール式のCO2除去・貯留システムを提供しています。
特徴・提供価値
- CO2を吸収した海水にマグネシウムやカルシウムを主成分とするミネラルを加え、中和反応によってCO2をHCO3-やCO32-に変換し、水中にCO2を安全かつ永久的に貯留する。ミネラル(アルカリ鉱物)は材料の制約がなく、世界中に豊富に存在するため容易に入手可能。
- 同社はCO2を除去するハードウェアと除去されたCO2の量をリアルタイムで監視するソフトウェアを統合したシステムを採用している。ソフトウェアは、直接測定センサー技術により水中のCO2、HCO3、CO3およびpHをモニタリングし、CDR(二酸化炭素除去)量の定量化を可能にする(下図)。
- 同社のモジュール式のコンテナシステムは太陽光発電設計により最低限のエネルギーで稼働し、高い拡張性と自律性を実現する。
- 同社のCO2除去システム(上図)は次の仕組みとなっている。
- リアクター入口でのセンサー測定により、変動するCO2量を測定
- リアクター出口でのセンサー測定により、CO2除去量およびHCO3・CO3生成量を測定
- CO2濃度の変動に応じてフィーダーがミネラルの添加量を制御し、中和反応を最適化
ビジネスモデル
- 除去したCO2のCDR(二酸化炭素除去)オフセットを販売(価格:<$100/ton)。最初の40万ドルのCDRオフセットは、すでに事前買取が成立済み。
なぜ今この会社なのか
- 海水には大気中の100倍以上の濃度のCO2が含まれており、海水を利用したCO2の水中貯留・生物固定は、より効率的でエネルギー消費量の少ない炭素除去の方法として注目されている。一方で、これら技術の課題の1つに除去したCO2の定量性の評価があげられている。同社のシステムは、除去されたCO2の量と生成したHCO3およびCO3の量を完全に定量でき、かつコストの低いCO2除去手段を提供する。
- CO2が取り除かれて酸性度が下がった海水を放出すると、周辺海域の海洋酸性化を解消できる。同社のシステムを貝などの養殖場の近くで稼働させれば、海洋酸性化の影響で殻が溶け出したり成長が遅くなったりするのを抑えられる効果が期待できる。
顧客・競合・パートナー
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