Written by Yuhei Yano
今回の注目ベンチャーの紹介はTwelveです。
同社は二酸化炭素の電気還元技術を核とした、SAFやナフサ生成システムの開発を行っています。
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※
Twelve
https://www.twelve.co/
サービス/プロダクト概要
- 二酸化炭素の電気還元技術を核とした、SAFやナフサ生成システムの開発
特徴/提供価値
- 最終製品はSAFやプラスチック原料になるナフサであり、同社はその全プロセスを担う装置モジュール開発、オペレーションを行っている
- CO2、H2O、再生可能エネルギーを主な原料とし、(1)CO2の電気分解にてCO、(2)H2Oの電気分解にてH2、を生成後に(3)フィッシャー・トロプシュ(FT)法にてCOとH2を合成してSAFやナフサを作る
- 同社のコア技術は(1)のCO2の電気分解によりCOを生成するPEM型電解装置にある
- Stanford大学で電気化学反応用触媒の研究室で学んでいたDr.Kendra(CTO), Dr.Etosha(COO)と、同じくスタンフォードのMBAで学んでいたNicholasが起業
- 伝統的手法としてRWGS(Reverse Water Gas Shift)があるが、通常700度以上の高温で反応が行われ、エネルギー効率が低く、CAPEX、OPEXが高いという課題があった
- PEM型は80度程度の低温動作が可能、高純度のCO生成、高生産性、コンパクトなシステムで運用コストが低い(CAPEX、OPEX低減)というメリットがある
- 一方で、PEM型は高コストな触媒、膜の耐久性と安定性、再生可能エネルギーを使用した電力出力変動への対応など、各種課題も指摘されている
- 同社はそれら課題を克服するMEA(Membrane Electrode Assembly)および装置技術を有する
ビジネスモデル
- SAF、ナフサが製品であるが、現状それら販売だけで生産コストを回収できないため、カーボンクレジットの販売(長期オフテイク契約の締結)と米国政府のTaxインセンティブを組み合わせることで、プロジェクト全体としての利益を確保する
市場動向・なぜこの会社なのか?
- 上述の通りSAFは生産コストが高く、ビジネス化には遠いという認識が一般的であるが、グローバルでのボランタリーカーボンクレジット市場の形成、米国をはじめとした政府のインセンティブ策を活用することで、ビジネス化への道筋が見え始めている
- 同社はH2の電気還元に比べると参入プレイヤーがそれ程多くなく、技術課題も大きいCO2還元プロセスにおけるPEM型装置を核とし、システム全体としてCAPEX、OPEXを抑えることができるプロセスを開発
顧客・競合・パートナー
- 顧客:航空会社等とのScope1(燃料及びクレジット販売) と、IT企業等へのScope3クレジット販売
- パートナー:H2の電気還元装置メーカーなど
- 競合:CO2からSAFを生成するプロセスとして、CO2からエタノールやブタノールなどのアルコール経由のSAF製造プロセスも存在
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