Written by Yuhei Yano
今回の注目ベンチャーの紹介はResource Chemicalです。
Resource ChemicalはPETのバイオマス代替材料として期待されるPEF(ポリエチレンフラノエート)の主材料となるFDCA(フランジカルボン酸)の開発を行うスタンフォード大学発ベンチャーです
今日のプラスチック製品に幅広く用いられるPETは、一方で合成時にCO2を大量に排出すると言われ、環境にやさしい代替材料の開発が期待されています
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は凸版印刷内のみです※
ReSource Chemical
https://www.resourcechemicalcorp.com/
サービス/プロダクト概要
- PEFの主原料となるFDCAを低コストで製造する技術開発
・特徴/提供価値
- PEFはその原料であるFDCAがバイオマス由来でPETよりバリア性に優れるため、環境性に優れ、かつ、PET同等の機能性を有するパッケージ材料として期待される
- 一方でPEFを大規模、低コストで製造する方法を発見できていないことが課題である
- 主な原因はFDCAを持続的に製造する方法が見つかっていないことにある
- FDCA製造方法は食品残渣から得られるフルクトース(糖)を脱水素してできる中間体(フルフラール)を酸化することで生成されるが、
1)フルクトースが食品残渣に依存すること、
2)脱水素、酸化プロセス工程において化学物質を用いることに課題(製造コスト、環境性)があった - 同社創業者は無害な化合物である炭酸塩を利用することでこの問題を解決した。2016年のNature掲載論文では、CO2とフルフラールの誘導体であるフランカルボン酸を炭酸塩と混合し、華氏約 290度で加熱することで溶融塩を作りFDCAを作る方法を発表。
- この方法ではプロセスを従来方法より簡素化できるため理論上2/3のコスト削減を実現し、非可食バイオマスを用いることができる
(プロセスで用いるCO2 は化石燃料を使う発電所や他の工業施設から得ることで、温暖化ガスの排出量を大幅に削減できる。 PEF で作った製品はまた、リサイクルや燃焼により CO2 に戻す) - 同社はこれらFDCAの製造方法確立、パイロットプラントでの実証を進めている段階である
ビジネスモデル
- PEF開発を進める材料メーカーにFDCA材料を販売
- 知財は創業者が所属していたスタンフォード大学から独占ライセンスを受ける
市場動向
- 世界では毎年約 5 千万トンものPETが織物、電子機器、リサイクルできる飲料水ボトルやパーソナルケア製品などで製品化されている
- PETは、精製した化石燃料と天然ガスから得られるテレフタル酸とエチレングリコールの2種類の物質から製造されるが、テレフタル酸合成時に地球温暖化に影響を及ぼす温暖化ガスであるCO2を大量に排出する
- 一説では、「PET1トン製造につき 4トン超のCO2を排出する」と言われる
顧客・競合・パートナー
- PEFを研究開発する化学会社との共同研究を行っている
- 公開情報によると日本では東洋紡等がPEF開発に取り組んでいるとされる
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