Written by Yuhei Yano
今回の注目ベンチャーの紹介はMekonosです。
シリコンナノニードルとMEMS技術を用いた独自のチップにより、DNA、RNA、CRISPR分子などを個々の細胞に直接導入する装置の開発を行っています
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は凸版印刷内のみです※
Mekonos
https://www.mekonos.com/
サービス/プロダクト概要
- シリコンナノニードルとMEMS技術を用いた独自のチップを核とした生体外細胞の送達装置の開発
特徴/提供価値
- 独自のチップが特徴。マイクロ流路、ナノニードル、表面材料技術の組み合わせ
- これにより免疫細胞、幹細胞、CRISPRなどの脆弱な細胞の生体外送達を正確に行うことができ、複数の細胞を一度に、繰り返し送達することができる(スループット向上)
- シリコン基板上には単一の約150nmのシリコンナノニードルが個別に形成されており(個別に流体の入出力を制御可)、複数の単一細胞へ並行して生体外細胞の送達を同時に行うことを可能にする
- また、マイクロ流路や細胞と付着する表面材料も上記スループット向上に資する独自の技術である
- これらチップを核とし、液滴のコントロールなどの自動化装置と分析ソフト(装置メーカーと共同開発)を組み合わせた、高精度・高効率細胞送達装置が最終製品である
- 長年の研究開発を経て装置のMVPが完成し、複数の製薬メーカーと装置利用と装置を利用して特定した細胞(創薬の種)に対するライセンスを前提としたパイプラインが進行
- UC Berkeley、Stanford、MD Andersenなど、トップクラスの細胞治療、iPSC研究機関と連携し、しっかりとした学術的ネットワーク/バックグラウンドを備える
ビジネスモデル
- 装置と試薬の販売を最終的に目指すが、当面は上述の同社装置を用い特定された新規細胞(創薬種)に対するマイルストーン、ライセンスフィービジネスを計画
顧客課題・市場動向
- 治療が困難な希少性疾患の多くは、特定遺伝子の単一欠損によって引き起こされるため、従来の医薬品や外科的手法では治療が困難である
- そのため、患者自身または他者から取得した細胞からとれる遺伝子から、特定の疾患または障害の治療のために患者に移植する治療である「セルセラピー(細胞治療)」に注目が集まっている
- 一方で細胞療法は高価で非常に複雑なプロセスが必要であり、安全性や効果に関するデータが不足している治療法もたくさんある
- その普及には細胞送達を大規模に、高精度に、効率よく行うことで、細胞治療の開発・製造コストを削減する技術開発が求められている
顧客・競合・パートナー
- 顧客:装置を利用する顧客は製薬企業を第一義的には想定しているが、その他遺伝子編集技術による品種改良を研究する農業、食品分野もターゲットとする
- 競合:競合技術として電気穿孔(Bio-Rad Laboratories/Tehrmo Fisher/Lonza)、ウィルスベクター(Bluebird bio/Novartis/Spark Therapeutics)、ナノ粒子ベースのデリバリー(Moderna/Alnylam Pharma/BiNTech)などの技術がある
- パートナー:チップ開発はIMECと共同で行なっている(量産時にはIMECと強い関係を持つTSMCを想定)、デバイスはKorvisとの協業
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