Written by Yuhei Yano
今回の注目ベンチャーの紹介はInvisible AIです。
製造業向けのコンピュータービジョンとAI技術を活用したプラットフォームを提供し工場の生産性向上、品質管理、安全性向上を統合的に実現するスタートアップです。
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は社内限りです※
Invisible AI
https://www.invisible.ai/
画像出所:同社Webページ
サービス/プロダクト概要
- 従来の生産管理システム(MES)や品質管理システム(QMS)は、データ収集が手動で遅延が発生しやすいという課題があった。
- Invisible AIはエッジAIと3Dカメラを組み合わせ、リアルタイムで作業データを解析し、現場の最適化を即座に行える。主な機能は以下の通り
- 生産性向上: 作業者の動作解析を通じて、工程の無駄を特定
- 品質管理: 3Dビジョンで製造工程を可視化し、不良品の発生を未然に防止
- 安全管理: 作業者の姿勢や動きをAIで監視し、エルゴノミクス違反を自動検出
- リアルタイムMES: 収集したデータを基に、工場のオペレーションをリアルタイムで最適化
特徴/提供価値
- 「部分最適」ではなく「全体最適」を実現するアプローチが、既存の同様のソリューションとの最大の違いである。
- 1.3Dカメラ+エッジAIによるリアルタイム解析
- 従来の2DカメラやクラウドAIとは異なり、3DコンピュータービジョンとエッジAIを活用してリアルタイムでデータ処理を行う
- 作業者の動きやプロセスの細かい変化を秒単位で検出
- クラウド処理の遅延を解消し、リアルタイムでフィードバックを提供
- 生産ラインの異常を即座に特定し、ダウンタイムを削減
- 2.「生産性・品質・安全」の統合管理
- 多くの競合企業は、生産性・品質・安全のいずれか一つに特化しているが、Invisible AIはこれら全てを統合し、工場全体の最適化を可能にする
- 例えば、
- 作業スピードを上げても品質に影響を与えないかをリアルタイムで分析
- 品質問題が発生した際、その根本原因が作業者のミスか、設備の不具合かを即座に特定
- 作業者の疲労や姿勢の負担が、長期的に品質や生産性にどのような影響を与えるかを可視化
ビジネスモデル
- ハードウェア(3Dカメラ)+SaaS型AIプラットフォームの組み合わせ
- 1.サブスクリプションモデル
- ソフトウェア(AIプラットフォーム)を年間契約のSaaSモデルで提供
- データ解析、リアルタイムフィードバック、プロセス最適化機能を含
2.ハードウェア販売- 3Dカメラ+エッジデバイスの導入が必要(顧客ごとにカスタマイズ可能)
- 某自動車OEMでは、1つの工場で1,000台以上のカメラを導入するケースもあり、大規模展開が可能
3.システム統合とデータ活用- MESやQMS、PLCとの統合を進め、企業のデータ基盤としての価値を強化
- 一部の企業と協議し、工場内に「AIサーバー」を設置し、オンプレミスでのデータ学習・解析が可能
市場動向・なぜこの会社なのか?
- リアルタイムなデータ活用と工場の自律最適化が求められている。
- 1. MESの限界とリアルタイム化の必要性
- 従来のMESは、生産データを管理するものの、手動入力が多く、リアルタイム最適化が難しいという課題があった。
- Invisible AIは、「リアルタイムMES」のコンセプトを掲げ、データを即座に解析し、生産ラインの最適化を行える
- 2. なぜInvisible AIなのか?
- 競争優位性
- 大手自動車OEMとの契約を獲得し、製造現場に深く入り込んでいる
- エッジAIと3Dビジョンの組み合わせにより、他社が模倣しにくい技術アセットを持つ
- 市場規模の拡大
- 自動車産業だけで$6B(約8,000億円)以上の市場が存在
- 他の製造業(半導体、医薬品、食品など)にも展開可能で、市場規模はさらに拡大
顧客・競合・パートナー
- パートナー:
- MES、QMSなどのソフトウェアベンダー(例:Siemens, Rockwell, SAPなど)
- ロボット、IoT企業。将来的にはロボットの動作分析も構想
- 競合:
- Retrocausal:生産性管理に特化
- Instrumental、Landing AI:品質管理に特化
- Intenseye、TuMeke:安全管理に特化
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