Written by Yuhei Yano
今回の注目ベンチャーの紹介はGlobal Thermostatです。
同社は固体吸着法によるDAC装置の開発を行っています。
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は凸版印刷内のみです※
Global Thermostat
https://www.globalthermostat.com/
サービス/プロダクト概要
- 固体吸着法によるDAC装置の開発、ライセンシング事業
特徴/提供価値
- 多孔質成形したセラミック基板に独自のアミン系材料を塗布した固体吸着剤、モジュール化された装置デザイン、プロセス条件にIPがある
- 固体吸着剤は熱や圧力の変化によってCO2を吸着する。液体の化学吸着法と比較して、低い再生温度での運転が可能でエネルギー効率が良いと言われる
- 一方で吸着剤の寿命や吸着効率(CO2捕捉率)が化学吸着法と比較して悪く、大型化に向かないというデメリットが指摘されている
- 同社は上述IPにより一般的な固体吸着剤と比較してCo2効率が高く、長寿命、大型化を実現する
- 既にラボスケールではなく、実地で2,000t/年のCo2吸着装置がコロラド州で稼働している
- 2010年創業。10年超に渡って個人投資家の資金支援と補助金で研究開発を行ってきたが、昨年より本格的商用化を開始。
- 東京ガス、住友商事等の日系企業が出資、PJ開発を行っている
ビジネスモデル
- ファブレス型のビジネスモデル。パートナー企業(アミン材料、セラミック多孔質加工、装置)にレシピを供給し製造を行い、EPC会社に対して装置納入と保守・サポートを実施する
- プラントオペレーションやクレジット販売は行わない
市場動向・なぜこの会社なのか?
- DACで商用利用されている企業は、Carbon Engineering(カナダ。化学吸収法。2023年オキシデンタルが1,600億円で買収)、Climeworks(スイス。固体吸着法)と同社程度と言われ、多くはラボスケールである。
- 同様の固体吸着剤を用いるClimeworksとはビジネスモデルが異なる。Climeworksは装置を自社で製造し、クレジット販売でのマネタイズを行う
- 一般的な業界課題はCo2の製造コストを2030年までに$100/tー200/tに下げることであり、そのコストを実現すればCo2を産業利用する企業への販売が可能になる。(Co2の調達コストは一派的に$300/tで仕入れていると言われる)
- 同社は固体吸着法の課題であったスケーラビリティ、寿命を克服し、CAPEX、OPEXを含め商用稼働で上記コスト目標を実現できる可能性を秘める
顧客・競合・パートナー
- 顧客:EPC会社
- 競合:Carbon Engineering, ClimeWorks等多数
- パートナー:化学会社(アミン系材料)、ガラス加工会社(多孔質材)、装置製造会社
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