Written by Yuhei Yano
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今回の注目ベンチャーの紹介はClear Labsです。
遺伝子解析における複雑な業務を簡素化するために設計された、分散型NGS(*)システムを開発・販売しています。
*Next Generation Sequencing:次世代遺伝子解析。数千から数百万ものDNA分子を同時に配列決定可能な強力な基盤技術
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は凸版印刷内のみです※
Clear Labs
https://www.clearlabs.com/
サービス/プロダクト概要
- 遺伝子解析における複雑な業務を簡素化するために設計された、分散型NGS(*)システムを開発・販売
特徴/提供価値
- 一般的なNGSを遺伝子解析業務の流れは、
(1)ライブラリ調製(前処理)
(2)シーケンス(反応)
(3)解析から
なる - 同社は上記(1)における自動化と、(1)-(3)一連のUI/UXに特徴がある
- 遺伝子解析をこれまで専門機関にアウトソースしていたユーザー(ラボや病院の研究者など)にとって、(1)-(3)のプロセスを統合したワークステーションである同社の装置を導入とすることによって、遺伝子解析業務に精通していなくても直感的に利用でき、解析結果を早く得ることができる(Cf.アウトソースの場合は数週間<>装置導入の場合は数日間)
- 特に(1)前処理*は、手作業ではかなり煩雑で数日間かかり作業者の経験が必要である。(*例:DNAの分割、アダプタ付加(シーケンサーで認識される短いDNA配列を付加、サイズ選択、増幅PCR、クオリティチェック)
- 同社装置は前処理を自動化する。自動化とは液体ハンドリングロボット(PCRのセットアップや酵素反応の調製、サンプルの移動など)、微量分注(ピペッティング)、バーコードトラッキング(サンプルの追跡や管理)、ソフトウェアとデータ管理(解析条件設定、解析結果レポーティング)をさす
- (2)シーケンスについては、ショートリードについてはillumina、ロングリードについてはOxfordNanopre technologiesの装置と試薬を利用している
- 解析ソフトなども既製品を利用。その他ラボ用の業務管理ソフト等ともAPIで連携
- 既製品の組み合わせと捉えることもできるが、ユーザーにとっての課題であるスループット、ROIの向上、サポート窓口の統一化などを解決するソリューションである
ビジネスモデル
顧客課題・市場動向
- 近年、オンコロジー領域において組織生検を補完するリキッドバイオプシー(血液など)のような、低浸襲性検査の需要が高まっている
- これはNGS装置コストの低下、解析AIの進展が、NGS解析が従来の中央ラボのような”中央集権的”なものから、製薬企業、CRO、病院などが自社で利用する”分散型”を後押ししていることに起因している
- 一方で、分散型利用の課題は、上述の通りスループットの向上であり、遺伝子解析の専門的な経験がない研究員でも、サンプルの準備、解析、データの解釈、レポーティングまで直感的に利用できる装置、ソフトウェア、サポートを含めた顧客UI/UXが高い、ツールが求められている
- 同社は食品遺伝子解析サービスからスタートし、それら経験で培った経験をもとに今後一層“分散型NGS”活用が期待される感染症、オンコロジー分野への展開を目指す“ラボDX”ベンダーである
顧客・競合・パートナー
- 顧客:製薬企業、CRO、研究機関、病院など(大ネットワークを持つ企業が各サイトに導入することが効果的。地域、人種によって異なる解析結果を容易に共有し、新しいインサイトをリアルタイムで得ることができる)
- 競合:Illumina, ThermoFisher, PACB, NSTG, OMICなどのNGS装置、ツールベンダーは多数存在
- パートナー:illumina、OxfordNanopre technologiesはシーケンサーのパートナー(NGS装置の組み込み、試薬の販売)
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