Written by Yuhei Yano
今回の注目ベンチャーの紹介はCapturaです。
Caputraは海水から二酸化炭素を除去する電気透析膜の開発を行っています。
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は凸版印刷内のみです※
Captura
https://capturacorp.com/
サービス/プロダクト概要
・特徴/提供価値
- DOC(Direct Ocean Capture)という手法で、電気透析膜を用いて海水に吸着されている二酸化炭素を除去する
- 原理は以下の通りである
(1)海水(PH8.1)の一部を汲み上げる
(2)電気透析膜に通すことで正極で酸化還元反応が起きて塩素が発生(2Cl⁻→Cl₂+2e⁻)、負極で水酸化反応が起きて水酸化ナトリウムが発生する(2H₂O+2e⁻→H₂+2OH⁻)
(3) 塩素(0.4MHCL+0.4MNaCL)と二酸化炭素が溶けた海水(NaHCO3)を反応させ、純度の高い二酸化炭素を取り出す(NaCL+CO2+H2O)
(4)酸性状態に傾いた海水は負極で抽出された水酸化ナトリウムと混合され、海水(PH8.1)となり海に戻される - カリフォルニア工科大学(Cal Tech)の二つの研究室の電気透析膜研究成果を活用し、Cal Techから独占ライセンスを受け活動(Cal Tech教授もCTOとして参画)
- CalTechから独占ライセンスを受けた電気透析膜(多孔質膜と触媒層)と、同社は海水二酸化炭素除去システムにIPを持つ
ビジネスモデル
- DOCプラントを運営しカーボンクレジットを販売する企業からクレジット販売x7-10%のロイヤリティを得るビジネスモデルを想定
市場動向
- 脱炭素の手法として、大気中から二酸化炭素を吸着するDAC(Direct Air Capture)技術が着目され欧米企業が積極的に取り組んでいるが、そのコスト(設備コスト、エネルギー消費)が大きいことが課題である($500/t以上)
- DOCは設備コスト(例:一般的な液体ポンプ利用可)、電気代も小さくて済み、海水淡水化プラントとの相性も良いため、新たな脱炭素技術として注目される
顧客・競合・パートナー
- 海水から二酸化炭素を除去するシステム構築を行う企業として、Ebb Carbon, Heimdal(逆浸透膜を用い海水->塩水化プロセスが必要)、SeaChange、Planetary Hydrogen(ミネラル混合)などがある
- 課題は海水->塩水の前処理と毒性・腐食性のある塩素ガスの大量発生をコントロールすることと言われる
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