Written by Yuhei Yano
今回の注目ベンチャーの紹介はCaeluxです。
同社はペロブスカイト型太陽電池の開発を行う企業です。
※取り扱い注意!こちらの情報の展開は凸版印刷内のみです※
Caelux
https://caelux.com/
サービス/プロダクト概要
特徴/提供価値
- ペロブスカイト層と従来のシリコンガラス基板を組み合わせたタンデム型
- シリコンガラス基板上にペロブスカイト層をPVD成膜する
- ペロブスカイト層に関する材料や製造方法に特徴があるわけでは無く、現在普及しているシリコン型太陽電池の生産ラインをそのまま活用できるように設計された、モジュール設計に特徴があると推測される
- 結果的に同社のガラスモジュールを仕入れる太陽電池メーカーは、発電効率の高いペロブスカイト電池を既存のラインを変更せずに低コストで生産できる
ビジネスモデル
- 上述の通り、同社は太陽電池メーカーに対してペロブスカイトとシリコンのタンデム型のガラスモジュールを販売するビジネスモデル
- 初期的な対象マーケットは既存のメガ(ギガ)ソーラー発電向け
市場動向
- ペロブスカイトは強いイオン結晶性を持つ半導体であり、強い光吸収特性で発電効率が高い、吸収波長を組成を変えて変化できる、インク塗布で室温(〜100℃)成膜可能などの特徴がある
- 2009年桐蔭横浜大学の宮坂教授らがペロブスカイト材料を光電変換に用いた論文を世界で初めて発表したことに加え、実用化に当たっては耐久性を高める化学材料、塗布技術、蓄電池とのモジュール連携が必要であることなどから、日本企業の技術を活かせる可能性がある分野として注目されている
- 課題はイオン結晶性を持つペロブスカイト層の(1)耐水性を高めること、実用化にあたっては(2)大面積化にあたっての塗布技術、(3)蓄電池との連携など周辺モジュールの開発、(4)PB(鉛)を含むためリサイクルシステム(鉛リサイクル技術自体は既に確立)を整備すること、などが挙げられる
- シリコンとのタンデムセルの場合、既に多くの中国企業が参入しているほか、パナソニック、東芝、カネカなどの日本企業、ポーランドのサウレテクノロジーは電子プライスタグ向けの量産を開始している
- 一方でこの方式の課題はガラス基板を用いるため軽量化と低コスト化である。また、ペロブスカイトの特徴である柔軟性・デザイン性が限定されるため、既存の安価なシリコンセルとの価格競争に陥りやすいと指摘されている
- シリコンと組み合わせないタイプでは積水化学、京大発のエネコートテクノロジーなどが開発に取り組んでいる
- 米国においては同社以外で目立ったスタートアップは見かけないが、対中国対策からIRA(インフレ抑制法)などの巨額の補助金が投じられ、米国発技術開発を支援している
- 一方で同社のように、巨大な米国マーケットに対して、決して最先端ではない技術を組み合わせ市場を席巻した後に、技術開発を進めるという戦略も十分考えられる
顧客・競合・パートナー
- 顧客:上述の通り初期的なはメガソーラー発電向けの太陽電池メーカーが顧客となる。将来的には車載、不動産などペロブスカイト太陽電池としての特徴を活かせるマーケットを狙う
- 競合:上述通り、中国企業、日本企業が開発を進めている
- パートナー:ガラス基板メーカー(同社は委託販売契約として在庫を待たない)
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