注目ベンチャー紹介:Behuman
2025
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04
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Written by Yuhei Yano
今回の注目ベンチャーの紹介はBehumanです。
医療アクセスが不足している層(Underserved Population)”に対して、保険償還対応のがんスクリーニングを遠隔医療で提供するサービスです。
Behuman Health
サービス/プロダクト概要
- 同社は医療データマーケットプレイス大手のHealth Gorillaのファウンダーが創業
- 全国的な医療データ基盤(QHIN API)を活用し、Agentic AIと医療従事者(医師・NP)によるハイブリッド診療を実現
- 検査オーダーから患者のエンゲージメントまで一気通貫でカバー。
- 特に、初期がん(Stage 0)の早期発見を目的とし、MedicareやMedicaidによる全額保険償還を前提としたビジネスモデルは、スクリーニングの大衆化と医療格差の是正において期待されている

特徴/提供価値
- Underserved層に特化:全米人口の40%が該当する「医療機関にアクセスできず、がん検診を受けたことがない人々」が対象
- 全額保険償還対応:スクリーニング費用はMedicare/Medicaid/商業保険により100%カバーされ、患者負担ゼロ
- AIによる完全自動化プロセス:Agentic AIが問診、診療サマリー作成、検査オーダー、フォローアップ管理まで支援
- 初期スクリーニングで40%に前駆症状:500名規模のPoCにて、Stage 0のがんリスク因子を多数発見
ビジネスモデル
- 収益源は保険償還による診療報酬:
- E/M(診察)、CCM(慢性疾患管理)、APCM(継続的予防ケア)などのコードを活用
- 平均LTVは約250ドル/人(診療+継続スクリーニング)
- RCM(レベニューサイクルマネジメント)は社内のAI+チームで内製
- 継続収益モデル:
- 一度診療を受けた患者は、AIが3〜12ヶ月ごとに定期検診をリマインド
- フォローアップ率の向上とLTVの最大化が可能
- スケール戦略:
- 初期はGoogle AdsやSEOでDTC型の集客
- 中長期的にはACOやMedicare Advantageプランとの契約により、地域全体を包括契約(PMPM)するモデルを展開予定
市場動向・なぜこの会社なのか?
- 米国の医療費のうち、がん治療にかかるコストは年間2,000億ドルを超え、その多くが「進行がん」に使われている
- しかしながら、早期発見(Stage 0)による医療費削減効果は最大で1人あたり50万ドル以上とも試算されており、予防医療の重要性が増している
- さらに、パンデミック後に加速した遠隔医療(Telehealth)の制度対応により、Medicareでは現在も予防スクリーニングに関する保険償還が可能です(ただし2025年9月以降の継続には政策判断が必要)。
- このような環境の中で、beHumanは政策と市場ニーズの交差点に位置し、社会課題をビジネスで解決する存在として強い注目を集めています。
顧客・競合・パートナー
- 顧客:
- 米国に住む医療アクセスのない個人(無PCP層、農村部、低所得者)
- 今後はACO、Medicare Advantageプランなどヘルスプランとの法人契約が拡大見込み
- パートナー:
- 検査機関
- データ連携:Health Gorillaからライセンス取得
- 医療ネットワーク:FQHC(連邦資格診療所)、ラボ、地域クリニックと連携
- 競合:
- Freenome:革新的血液検査技術医療行為なし、未承認、保険対象外
- Color Health:
- Carbon Health:実診療ネットワークあり拠点依存でスケール難、予防特化ではない
- Forward:富裕層向け予防医療完全自費、広範な普及不可