注目ベンチャー紹介:Aether Bio

2023
9
11

Written by Yuhei Yano

今回の注目ベンチャーの紹介はAether Bioです

機械学習と自動化装置を用い、合成生物学により新規化合物を迅速に生成するサービスを展開しています

※取り扱い注意!こちらの情報の展開は凸版印刷内のみです※

Aether Bio

https://www.aetherbio.com/

サービス/プロダクト概要

  • 機械学習と自動化装置を用い、合成生物学により新規化合物を迅速に生成するサービスを展開しています

特徴/提供価値

  • 特定の反応(例:リチウム吸着反応を促進する酵素)を促進する酵素の活性部位やその構造を分子レベルで特定するための機械学習と実験自動化装置、その結果として得られる分子構造を改変した酵素データセットに特徴がある
  • 微生物等の自然界から得られる酵素は、数千以上の反応を促進すると言われているが、網羅的な実験をしていないため大半の代謝経路は解明されていない
  • 同社は機械学習と自動化装置を用い、従来の1,000倍以上の酵素の分子構造と反応をインデックスした上で、様々なプロセス条件(例:反応温度)も加えた上で、最適な分子構造を持った酵素を絞りこんで上で、当該酵素を持つ微生物等を遺伝子編集により生成する
  • 自動化装置は音響エネルギーを用いたピエゾ素子プリンターを用いた独自の装置で、ナノリットル単位の液滴を正確にデポジットすることができ、20,000サンプル/日以上の実験をすることを可能とする
画像出所:同社Webページ

ビジネスモデル

  • 創薬ビジネスのように技術導出先と特定条件達成によるマイルストーン収益と上市後の顧客売上等に応じたライセンス収入を得るモデルを想定

顧客課題・市場動向

  • 合成生物学のアプローチは伝統的な化学合成と比較して、複雑な化合物を環境負荷を低減し効率的に生産できる可能性がある技術として注目が集まっている
  • DNAシーケンス、遺伝子編集技術(CRISPRなど)、バイオインフォマティクスのツールなどの技術の進化により、生物の遺伝子を編集し、酵素の機能を変更することが簡単かつ安価になっている
  • 例えば、Ginkogo Bioworks社は特定酵素を持つ微生物等を遺伝子編集で生成し、新規化合物を合成するプラットフォームを提供する新興企業(2021年5月にSPAC上場)
  • 一方で特定反応を促進する酵素(の分子構造)は自然界で得られる微生物等の先行研究データ活用が中心であり、そのほとんどが解明されていない
  • 同社は各反応に対する網羅的な酵素データセットを作ることに特徴を持ち、それらを実際の生物系に適用することで、新規化合物の生成を効率的かつ迅速に生成することを目指す

顧客・競合・パートナー

  • リチウム抽出酵素が最大のパイプラインであるが、その他表面活性剤(PFAS等の置き換え)、PEEK等のパイパフォーマンスポリマーを生成する研究も行っている
  • 顧客(技術導出先)は化学会社やプラントエンジニアリング会社となる
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